カトリックQ&A
近くにモルモン教の教会があって、礼儀正しい外国人の青年が路上で熱心に勧誘しています。正統なキリスト教の教派とみなしてもよいのでしょうか。
モルモン教は、正式の名称は「末日聖徒イエス・キリスト教会」と言って、一八三〇年ジョゼフ・スミスという人によって米国で創立されたキリスト教的な新興宗教です。スミスは天使の啓示によって『モルモン経』という聖書を発見した、と主張しました。それによると、古代イスラエルの一部族が紀元前六〇〇年頃アメリカ大陸に移住し、これがアメリカ・インディアンの祖先でした。イエス・キリストが彼らに現れ多くのことを教えたにもかかわらず、彼らは堕落して滅び、ただ一人の生き残りであるモルモンがすべてを金の板に書き記して埋めた、と言うのです。その教えによると、今の世の終わりが近く、イエスは間もなく再臨します。モルモン教徒は、自分たちこそイエスの再臨を準備する集団だと確信し、他のキリスト教の教派を誤りとして排斥します。
教祖のスミスは一八四四年に死にましたが、後継者ヤングは信徒たちを米国西部のユタ州に導き、ソートレイクシティーという町を築きました。この町は終末的なエルサレムとされています。モルモン教徒の生活は道徳的に非常に堅固で、勤勉に仕事に精を出します。特に宣教活動に熱心で、すべての男子の信徒が二年間は世界のさまざまな国で布教に従事することが義務づけられています。
モルモン教徒の倫理的なまじめさは尊敬に値しますが、その教えは架空の私小説に基づく、一九世紀のアメリカの世界覇権の自負心に由来する、と言ってもよいでしょう。正統なキリスト教とは言えません。