カトリックQ&A
カトリック教会にも、フランシスコ会とか、ドミニコ会とか、さまざまな派があると聞いています。どう違うのですか。
これも、たびたび耳にする質問なのですが、いささか誤解があるようです。フランシスコ会とか、ドミニコ会とか、イエズス会とか、カルメル会とか呼ばれている団体は、いわゆる「修道会」であって、異なった教派ではありません。そして、修道会とは、キリスト者としての生きかたを特別のかたちで徹底させようとして集まった人々の、まったく自発的な団体のことです。それぞれの創立者のカリスマによって、会の目的や性格が違いますが、どの修道会もカトリック教会に所属し、ローマ教皇を最高の指導者としており、その権威によって発布されるすべての規律に従い、共通のカトリック教会の典礼や慣習を守っています。日本のカトリック教会では、約五十の男子修道会、約九十の女子修道会が、さまざまな分野で活躍しています。
もともと修道会は、古くは三世紀頃から、現在のエジプト、ナイルの河畔の砂漠に退いて祈りと静寂の生活を送った隠修士たちの生活に始まりました。福音の精神を純粋な形で実現することが、彼らの理想でした。彼らは、すぐれた指導者のもとに集まって共同生活を営み、互いに助けあって信仰と霊性を深め、その集団からしだいに修道会が生まれてきました。修道会はまず東方のキリスト教世界に広まりましたが、西方では六世紀のベネディクトの修道会が最古のものです。修道者たちは農耕や牧畜による自給自足の共住生活を営みながら、徹底してキリストに従う道を求めたのでした。
修道者たちの生活は、混迷の中にあったヨーロッパ中世の社会にとって精神的な支柱となりました。その後、それぞれの時代の要求に応えて、さまざまな目的と生活形態をもつ修道会が生まれて現在に至っています。それぞれの創立目的に従って、祈りに専心する修道会もあれば、宣教活動や教育や福祉事業にたずさわる修道会もあります。共通しているのは、それぞれ自分が神から召されたと信じる道で、徹底してキリストに従おうとすることです。