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カトリックQ&A

天使について教えてください。マリアに受胎を告げたり、羊飼いに主の誕生を知らせたり、聖書には天使がよく登場します。天使は本当にいるのですか。


子どもの頃からカトリック信者だった私には、天使の存在はごく自然に信じられるのですが、キリスト教のことを知らない方が初めて聞くと、おとぎ話のように感じられるかもしれませんね。

実は「天使」や「神の使い」の想像は、たぶんに民俗的な信心の所産で、キリスト教の信仰の本質にかかわるものではありません。宗教史的に言うと、天使の概念は比較的に後代になって、周辺世界の影響でイスラエルに入ってきたようです。それは神の救いのわざ、一人ひとりに対する神の導きを表現するものとして、擬人化された形で登場します。とりわけ黙示文学などでは、この世界が天使たちの軍団と悪魔たちの軍団との戦いの場として二元論的に描かれています。

イエスも当時のイスラエルの人々も、当然にそのような言葉や考え方に慣れ親しんでいました。だから新約聖書の叙述には、天使たちが神の働きの道具として、ごく自然に登場します。しかし、その叙述の意図は、あくまでも神の慈しみ深いはからいと導きを表現することです。

パウロはむしろ、当時のヘレニズム社会に流布していた宇宙を支配する霊力、権威、勢力(ローマ8・38、エフェソ1・21、コロサイ1・16など)の思想に対して、すべてがキリストのもとに服していることを強調しています。
教会の伝統の中で、天使についての理論が展開され、天使が人間よりすぐれた霊的な被造物として信じられたのは、時代の背景から見ると当然でした。しかし、教会の教義は一度も天使の本質を公に定義づけたことはありません。キリストによる救いというキリスト教信仰の真髄に比べれば、天使の想像や信心は付随的なものです。ただし、宗教とは合理の世界ではありません。天使の存在など信じなくてもキリスト教を信じることに差し障りはないでしょうが、そのような民俗的な信心をいっさい切り捨ててしまうなら、キリスト教は合理主義的な、味気のない宗教になってしまうでしょう。

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