カトリックQ&A
新しく赴任して来られた主任司祭に、どうしてもついていけません。教会を移ってもよいでしょうか。
実はこの質問も、しばしば耳にします。カトリック司祭として、私自身、このように言われて申しわけなく思うのですが、まだキリスト教の日の浅い日本の教会では、宣教師や教会を指導する神父たちの人柄とか性格が、良きにつけ悪しきにつけ、その教会に決定的な影響を及ぼすのは避けられないでしょう。たまたま善い司祭に出会ったから信仰に入ったとか、逆に主任司祭と気まずい関係になって教会から離れてしまったとか、そういう話は日常茶飯事です。
でも、ここでも私たちは、キリスト教の信仰がそもそも何であるかを思い起こさなければなりません。私たちがイエス・キリストを信じるのは、指導してくれる神父さんが素敵だからとか、よいお話をしてくださるからとか言うのではありません。確かに福音をもたらす人がいなければ、私たちは福音を聴くことができないでしょう。その人をとおして、私たちはキリストと出会います。福音をもたらす人は、いわば器です。器がよかったから中身を受入れた、ということも初めはあるでしょう。しかし、ひとたびキリストと出会ったならば、私たちの魂を引きつけるのは中身であるキリストであって、器として奉仕した神父さんの人柄は二の次になるはずです。
だから、神父さんと喧嘩したとか、新しい主任司祭と合わないとかいう経験があったなら、そのときこそ信仰が成長する機会だと考えてください。どんなに聖なる司祭にも弱さや限界があり、その人柄に合う人もいれば合わない人もいます。しかし、信仰はそのような人間的なレベルを越えて成長しなければなりません。