カトリックQ&A
不幸に亡くなった人のために、どのように供養してあげることができるのでしょうか。キリスト教にも死者のための供養ということがありますか。
「供養」という言葉の意味もさまざまでしょうが、成仏しきれずにさまよっている霊を慰める、というようには、キリスト教は考えません。私たちには、その人が亡くなって今どういう状態にあるのか、知るよしもありません。一人ひとりの生涯と、心に秘めた思いをご存じなのは、ただ神様お一人ですから、私たちはただ、神の慈しみ深いみ手に、亡くなった人をお委ねするよりほかありません。
でも、亡くなった先祖や家族の人々のことを大切にするのは、日本人の美しい習慣だと思います。これはキリスト教的にも、おおいに奨励すべきことです。キリスト教では、すでに世を去った人も、まだ世にある人も、神の一つの家族として時間と空間を越えて結ばれていること、神において相互に交わり、神のいのちを共有し、恵みを分かちあい、助けあうことを信じて、これを「聖徒の交わり」と呼んでいます。とくにカトリック教会で、聖母マリアをはじめ諸聖人たちへの尊敬を大切にしているのは、その理由です。これは、日本人に特有の祖先崇拝の心にもつながります。
亡くなった人々が、神の慈しみのみ手に抱かれて、永遠の憩いに迎えいれられるよう祈ること、同時に、すでに神のもとにある人々が地上の私たちのために神の前に取りなしてくれるよう祈ることは、正しいことです。