カトリックQ&A
『使徒言行録』の描く「聖霊降臨」は、一度限りの出来事だったのですか。現代の私たちには体験されないのですか。
『使徒言行録』は、どのようにイエスの弟子たちに聖霊が与えられ、彼らがキリスト者として強められ、キリストの手足となって働くために世界に遣わされていったかを、劇的に描いています。原始の教会の誕生は、確かに歴史を画する出来事だったに違いありません。でも、聖霊の働きは原始の教会だけに限られているわけではなく、絶えず教会の中に与えられ、教会を導くものです。
そして、個々のキリスト者も、信仰の感覚さえ有していれば、今もいつも、聖霊の働きを経験することができます。ただ、聖霊の体験をあまりにセンセーショナルに考えないほうがよいでしょう。すごい感動とか、燃えるような情熱などを期待しないでください。むしろ真の聖霊の体験は、ごく地味なものだ、と考えてください。日常の色あせた繰り返しの中に、あえて一歩踏み出す勇気をいだくこと、挫折や失望の中に、あえて新しく出直す希望を持つこと、自分の体力的、精神的な限界を自覚しつつも、あえて新しい成長のために努力すること、それこそ真の聖霊の体験だと、私は思います。